本屋めぐり

本屋めぐりをしていて「太田新書」というものが出ていることを知った。
これがなんと官能小説のシリーズ──「もっと激しく、もっと淫らに、太田新書新創刊!」──で、新創刊のラインアップは藍川京、丸茂ジュン、安達瑶、北山悦史の四人。
記念に北山悦史『濡れた火艶』を買って読了。
「書き下ろし全編愛撫長編」の謳い文句に興味を覚えたからで(安達瑶『愛の道化師』の「オペラは官能だ」にも心が動かされる)、まるでロボットどうしの性愛の情景を叙述したような「工学的」ともいうべき即物的で精確かつメカニカルな細部描写は(ちょっと煩雑ではあったけれどもそれなりに)新鮮。
新しい官能表現の可能性を(これとはまったく正反対の「純粋性感」描写の可能性とともに)感じた。
「あの太田出版から官能小説!」と驚いたのは(無知ゆえの)勘違いで、「ウィキペディア」によると「1985年、お笑い系芸能プロダクション、太田プロダクション出版部から、有限会社太田出版として独立。後に株式会社になる。
もともとは、太田プロに所属していたビートたけし(後に独立、オフィス北野)の本を出版するための会社だったが、現在は幅広く各種の書籍を出版している」。