2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

狩野永徳の屏風絵

先の土曜日(27日)、京都国立博物館の狩野永徳展に出かけた。 会場に入るのに40分並び、洛中洛外図屏風を歩きながら見るのにも行列ができていたのでこれはパスして遠くで眺め、最後の部屋でゆっくり間近で唐獅子図屏風と対面した。織田信長像と檜図屏風…

【哥の勉強】セルロイドの切れ端のような薄くて透明なもの

というわけで、さっそく山内志朗著『〈畳長さ〉が大切です』を使って「哥の勉強」を進めてみることにしようかと思ったのだが、その前に、ついさっき『宇宙を復号する』を読み終えたばかりなので、その中から印象に残った話題をひとつに限定して書いておく。 …

哲学という最も畳長な営み――『〈畳長さ〉が大切です』

山内志朗著『〈畳長さ〉が大切です』(双書哲学塾,岩波書店:2007)を読んだ。 阪神・淡路大震災の後、リダンダンシー(redundancy)という言葉をよく耳にした。基幹道路一本で地域が結びつく都市構造は脆弱で、大規模災害に弱い。平時には無駄とも思われる…

映像化されたポアンカレ予想

一昨日放映のNHKスペシャル「100年の難問はなぜ解けたのか〜天才数学者 失踪の謎〜」が面白かった。ポアンカレ予想の証明でフィールズ賞を受賞したグリゴリ・ペレリマンの謎の失踪をテーマにした「CGと実写の合成を駆使し、“天才の頭の中”を映像化す…

【大森荘蔵】ことだま論・第2節(その1)

9月25日に大森荘蔵「ことだま論」の第1節を取り上げた際、「第2節はメモを取りながらじっくり読んだので、書いておきたいこと、それを読んでいるとき私の脳髄に立ち上がりあるいは立ち現われたことがたくさんある。このことは次回にまわす。」と書いた…

限界集落

いわゆる「限界集落」の問題を考える会合に参加して、事例発表や参加者の発言を聞いて考えたこと。 ◎まず、そこに住む「人」とその「生活」がある。健康、教育、消費(利便)、文化といった基本的な生活欲求が満たされなければいけない。資産管理、しごと、…

最近買った本・読んでいる本

今日、三冊の本をまとめ買いした。 入不二基義さんの新刊が出ていると知ったので、散歩の途中、明石のジュンク堂に立ち寄り、速攻で買い求めたのが『時間と絶対と相対と──運命論から何を読み取るべきか』(勁草書房:2007)。個人的には、『相対主義の極北』…

アクロバティックなまでに複雑なモデル──『貨幣と精神』

中野昌宏『貨幣と精神――生成する構造の謎』(ナカニシヤ出版:2006)を読んだ。 ホッブス的秩序問題といわれるものがある。自由な個人が好き勝手に行動をとると、万人の万人に対する闘争に行き着くと思われるが、にもかかわらず社会に秩序がもたらされうるの…

スクリーンのなかの身体──『大人のための「ローマの休日」講義』

北野圭介著『大人のための「ローマの休日」講義──オードリーはなぜベスパに乗るのか』(平凡社新書:2007)を読んだ。とても面白い本だった。 《『ローマの休日』は、『裏窓』と同様に、五○年代という時点でハリウッドが蓄えてきていた、演技法のレパートリ…

高田純次のギャグ

昨夜のテレビで、高田純次が、「なぜ人はグラスを持つとき小指を立てるのか、それは親指を立てるとグラスが落ちるから」とギャグを飛ばして笑いを取っていた。このギャグのどこが可笑しいのだろうか。 親指以外だったら、人差し指でも中指でも薬指でも立てら…

【貫之現象学】言霊と歌の姿と私的言語をめぐるメモ

貫之現象学の実質を「言霊と聲」「歌の姿(歌体)と共感覚」「哥と私的言語」の三つの切り口から考察してみる。おぼろげにそうした見取り図を作図している。その見取り図どおりに作業が進むかどうかは実際にやってみなければわからないけれども、なんとかま…

【貫之現象学】思いに形を与えること

心と物の関係をめぐる紀貫之の歌論(古今集仮名序)を「現象学的歌論」と名付け、その実質を(永井均命名による「西田現象学」を参照しながら)考察する、というか架設してみる。そんな試みに没頭している。貫之の歌論が「心と物の関係」をめぐるものである…