2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ゴジラ、あるいは国家の死を告げるリヴァイアサン

☆片山杜秀『国の死に方』(新潮新書) 映画「ゴジラ」が封切られた昭和29年11月、日本の政治は死に体だった。造船疑獄、指揮権発動、国会乱闘、警官隊の導入とつづく、政党再編前夜の政治的空白を、水爆大怪獣・ゴジラが襲った。 政治は空転する。壊れた…

大阪都構想は政治的寓話を超えるか

☆砂原庸介『大阪──大都市は国家を超えるか』(中公新書) 大阪都構想は「政治的な寓話」(221頁)の域を超えることができるか。 明治維新以来の大都市をめぐる制度と政治闘争の歴史を、市長対議会、東京対その他の大都市、大都市対全国(農村)の三つの対立…

中沢新一の思考世界を一望する

☆中沢新一『野生の科学』(講談社) 中沢新一の著作リストには『カイエ・ソバージュ』シリーズや『フィロソフィア・ヤポニカ』のような長編群のあいだに『ゲーテの耳』や『知天使(ケルビム)のぶどう酒』や『ミクロコスモス』1・2といった美しい装いをも…

技術と言語と美的創造活動の起源

☆アンドレ・ルロワ=グーラン『身ぶりと言葉』(荒木亨訳,ちくま学芸文庫) 暮れから年明けにかけて読み込んだ。なぜもっと早く、できれば翻訳書が刊行された四十年前に読んでおかなかったかと悔やまれる。もしかしたら生き方(進路)が変わっていたかもし…

もっとずっと単純で純粋な現実

☆パスカル・メルシエ『リスボンへの夜行列車』(浅井晶子訳,早川書房) 読み終えるのに難渋した。いまなお読み終えた気がしない。 血沸き肉躍るとはとても言えないのに、なぜ最後まで読み終えることができたのだろう。 「人は書かないかぎり、きちんと目覚…

ベルクソンと空海をつなぐ即身成仏論

最近、また本の感想文が書けるようになった。 いつまで続くかわからないけれども、まとまったものが書けたら、ここにアップすることにした。 まとまったもののうち、少しは内容があるかもしれないものは、評価をつけて、「TRCブックポータル」というサイ…