2014-01-01から1年間の記事一覧

Web評論誌『コーラ』24号のご案内

■■■Web評論誌『コーラ』24号のご案内■■■ ★サイトの表紙はこちらです(すぐクリック!)。 http://homepage1.canvas.ne.jp/sogets-syobo/index.html --------------------------------------------------------------- ●書評● 「未発の政治」は、いつ発現す…

本が読めない

ほぼ一月ちかく、宇田亮一さんの『吉本隆明 “心”から読み解く思想』を読んでいる。 フレミングの法則を下敷きにして、吉本三部作の鍵概念、現生的疎外・純粋疎外、共同幻想・対幻想・個人幻想、指示表出・自己表出(体壁表出・内臓表出)を、まるで工具がな…

メカニカルな感覚、時間の劇。

吉本隆明の詩を読みたいと思っている。 その直接のきっかけは、中沢新一編著『吉本隆明の経済学』の第二部「経済学の詩的構造」を立ち読みしたこと。 いわく、人間の心の仕組みの奥には「詩的構造」と名づけるしかない根源的な活動があって、いっさいの心的…

和歌の勉強

三浦しをんさんが讀賣の読書欄(9月21日)で大絶賛していた、放送大学の講義「和歌文学の世界」──「和歌第二シーズン、バージョンアップしています!」(三浦しをん)──の第2学期分を毎週かかさず見ている。 全15回の第7回、佳境の「藤原定家の方法」ま…

国学とプラグマティズム

昨日の朝日の書評欄で、柄谷行人さんが『哲学を回避するアメリカ知識人』(コーネル・ウェスト著)に関連して、とても興味深い指摘をしていた。 認識論を中心にした近代ヨーロッパの「哲学」を回避するアメリカ土着の哲学、つまりエマソンを源流とするプラグ…

クローデルを探して

先週末、私用公用とりまぜた2泊3日の東京行きの車中の友を選ぶのに四苦八苦した。 ずいぶん前から『寒い国から帰ってきたスパイ』に決めていたのに、当日の朝になって『逢坂の六人』に変更し、その後あれこれとりかえたあげく、最終的に平凡社ライブラリー…

夢の中に生きている貫之

周防柳さんの『逢坂の六人』を読み始めた。まだ序のなかばあたりを彷徨っている。 紀貫之が主要人物で、「六人 The Magnificent Six」とは六歌仙のこと。目次(美しい!)をながめていると、貫之が狂言廻しになって、連作小説風に物語が進行していくので…

「ホリゾンタル」な図式と「ヴァーティカル」な視点

このところずっと、『生命と過剰』とその第二部にあたる『ホモ・モルタリス』が収められた丸山圭三郎著作集第4巻を読んでいる。 読み始めた動機は、丸山圭三郎と井筒俊彦の思考の同型性を確認する、といったことだったが、そういった個別の関心事とはかかわ…

ジョン・ル・カレ

少し前からジョン・ル・カレの『誰よりも狙われた男』を読んでいる。 読み始めてすぐ他の本が読めなくなり、これ一本にしぼってゆっくり時間をかけ、一文たりともおろそかにせず細部を味わい尽くすようにして読み進めている。 ちょうど映画も公開中のようで…

アラベスクとアナグラム

論文のタイトルに惹かれて、宗像衣子さんの「宙空のアナグラム・宙空のアラベスク──マラルメ『骰子一擲』序論・〈形象の変容と思惟的像〉」を読んだ。(『トランスフォーメーションの記号論』(記号学研究10)[東海大学出版会:1990.05.10]所収) 秋山澄夫…

Web評論誌『コーラ』23号のご案内

■■■Web評論誌『コーラ』23号のご案内■■■ ★サイトの表紙はこちらです(すぐクリック!)。 http://homepage1.canvas.ne.jp/sogets-syobo/index.html --------------------------------------------------------------- ●連載:哥とクオリア/ペルソナと哥● …

記憶のインデックス──『これを語りて日本人を戦慄せしめよ』

★山折哲雄『これを語りて日本人を戦慄せしめよ──柳田国男が言いたかったこと』(新潮新書) 柳田国男のことは(萩原朔太郎とともに)数年かけてきわめたいと思っている。究めることはできなくても、自分なりに見極めたいと思っている。 本書はいずれまた読み…

Web評論誌『コーラ』22号のご案内

■■■Web評論誌『コーラ』22号のご案内■■■ ★サイトの表紙はこちらです(すぐクリック!)。 http://homepage1.canvas.ne.jp/sogets-syobo/index.html --------------------------------------------------------------- ●現代思想を再考する[第2期]4(最終…

初めての電子ブック体験

小浜逸郎著『日本の七大思想家──丸山眞男/吉本隆明/時枝誠記/大森荘蔵/小林秀雄/和辻哲郎/福澤諭吉』を読んだ。 初めての電子ブック体験だった。 全体の分量が感覚的につかめないのが苦痛だし、後で文章を確認するのに苦労する。議論ではなく物語に溺れるの…

カラダコトバのOS

田中泯×松岡正剛『意身伝心――コトバとカラダのお作法』。 対談の圧巻は田中泯と松岡正剛が語る「恋愛観」。二人の関係に嫉妬を感じながら読んでいた。 このところ松岡正剛に如何わしさ、怪しさを感じなくなりかけていたけれど、やはりこの人は「ホンマモン」…

人間の精神的覚知の深みの直接無媒介な表現

小学校高学年まで、父親の書道教室で毎週日曜、習字の練習をしていた。 その記憶とここ数年の和歌への関心から、かなへの興味がしだいに高じ、ある日とうとう筆と半紙を買い、図書館で借りた入門書を手本に書き始めてみたら、気持ちがしずまってとても感じが…

切抜帖──『歌と宗教』から

鎌田東二著『歌と宗教──歌うこと。そして祈ること』(ポプラ新書)から。「俳句アニミズム論」とその解説。 1)「俳句」とは、「俳諧」である。 2)「俳諧」とは、「俳=人に非ず+諧=皆言う」ワザである。 3)したがって、「俳諧」とは、「写界主義」で…

身体のなかを竜巻がかけめぐる経験

前田英樹著『ベルクソン哲学の遺言』を半年ほどかけて断続的に読み進め、ついさきほどようやく読了した。 『言葉と在るものの声』のときもそうだったが、前田英樹の本を読むことは、身体のなかを竜巻がかけめぐるのを経験するのに等しい。精神をカンナで削ら…

最近読んでいる本──『夢十夜』ほか

安田登さんの『異界を旅する能 ワキという存在』はほんとうに面白い。 その安田さんの夢十夜(第三夜)の朗読をユーチューブで観た。とても迫力のある声だった。 オリオンブックスからでている電子ブック(Kobo版)を買って読んでいる。 この作品は漱石が謡…

最近買った本──『幽玄・あはれ・さび』ほか

久しぶりの大人買い(というほどの冊数でもないか)。 和歌と連歌と俳諧、能・人形浄瑠璃・歌舞伎、茶の湯を起点に花、書、香、そして美術建築工芸へと、日本の美学に関連する書物を集中的に読みたいと思っている。ここ数年ずっと思いつづけている。 ◎大西克…

魂(アニマ)について

山内志朗著『「誤読」の哲学』から中畑正志著『魂の変容──心的基礎概念の歴史的構成』へ。そして神崎繁著『魂(アニマ)への態度』へ。 西洋古代・中世の哲学と現代の「心の哲学」をつなぐ(そして貫之、俊成、定家、心敬、世阿弥、芭蕉、等々の歌論、連歌論…

切抜帖──『あわいの力』から

安田登著『あわいの力』からの切り抜き。 ◎ワキとはすなわち「媒介」である ワキは「分く」の連用形。着物の脇の縫い目(ワキ)が着物の前後を分けると同時につなぐように、能のワキは「あっちの世界」と人間、「異界」と現実世界を「媒介」する「あわい」の…

今年最初に読んだ本・買った本

今年の初読みは、安田登著『あわいの力──「心の時代」の次を生きる』。 昨年の暮れ、毎日新聞の渡辺保の書評文で知った前田英樹と安田登の対話本『からだで作る〈芸〉の思想』と一緒に購入した。 今日、全十章のうち二章まで読んだ。滅法面白い。 面白く読み…