2005-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「写真よ、語れ!」

『芸術新潮』9月号を買った。特集は港千尋解説の「写真よ、語れ!」。 橋本治が「とことん語る」日本美術史と磯崎新が「読みかえる」日本建築史を特集した二冊に続く常備本。 写真はつねに変わらぬ(詩的)インスピレーションの源泉だった。 一枚の写真を凝…

『物質と記憶』(第3回)

『物質と記憶』の(独り)読書会が6週目を迎えた。 先週読んだ第一章の三節「実在論と観念論」を読みなおし、四節「イマージュの選択」を通読した。 脳は一種の中央電話局だという有名な規定がでてくる三節でベルクソンが主張しているのは、知覚が向かうの…

『のだめカンタービレ』『小説の自由』

二ノ宮知子『のだめカンタービレ』読了。 火曜日に#1を買って読み終え、水曜日に#2と#3を買ってこれもその日のうちに読み終え、とうとう止まらなくなり、木曜日から土曜日まで3巻ずつ一気に#12まで読みきってしまった。 #9までの桜ヶ丘音楽学校篇…

『認められたい!』

太田肇『認められたい!』読了。 本をいただいてから二ヶ月。なかなか手に取る時間がなかった。 仕事をさぼって盗み読みを初めると、最後までほとんど違和感を覚えることなく一気に読み進めることができた。 (ただ一点、この本がどのような読者層を想定して…

『団塊世代を総括する』

三浦展『団塊世代を総括する』を買った。 一月前に書店でみつけた時から気になっていた。 『ファスト風土化する日本』が素晴らしかったので、その本を書いた著者が2007年問題に対してどのような処方箋を書くのか興味があった。 団塊の世代は移民(異民族…

『小説の自由』

昨日に続き今日もまた全然やる気が湧かない。 保坂和志『小説の自由』の「11 病的な想像力でない小説」を読み、『物質と記憶』を一節分だけ読んで今日の読書は終わり。 朝日新聞に高橋源一郎が『小説の自由』の書評を書いていた。 「小説」について考えるこ…

心脳問題をめぐるテーゼ(私家版)・覚書

昨晩、何年かぶりにカラオケへ行った。 古い歌をふたつほど歌った。 そのせいかどうか分からないが、深夜寝つけず遅くまで起きていた。 休日になればいろいろとやりたいことはあったけれど、寝不足と仕事疲れ(この一週間ほとんど仕事が手に着かなかったのに…

『出生の秘密』

三浦雅士『出生の秘密』を買った。 パースとラカンのことが書かれた「六 記号の階梯」と「七 鏡のなかの私」をざっと流し読んだ。 アッと驚くことが書かれているようには見えなかったので妙に安心した。 「あとがき」をじっくり読んだ。異様に高揚した文章だ…

『物質と記憶』(第2回)

『物質と記憶』第一章冒頭の二節、分量にして十頁ほどを一時間あまり熟読した。 先週の日曜日に読んでよく頭に入らなかった「現実的行動と可能的行動」の節とこれに続く「表象」の節。 私はイマージュの総体を物質と呼び、その同じイマージュが特定のイマー…

『レベッカ』ほか

ひさしぶりに朝早く目が覚めた。 図書館へ行って、茂木健一郎『脳の中の小さな神々』と前野隆司『脳はなぜ「心」を作ったのか──「私」の謎を解く受動意識仮説』とリワノワ『リーマンとアインシュタイン』とドゥルーズ『差異について』を継続して、小栗康平『…

保坂和志と野矢茂樹のコラボ・その他

夏休み中なのに午前中に会議が入っていたのでなかばボランティアで仕事をこなし、午後しばしの書店めぐりのあと『小説の自由』と『他者の声 実在の声』のまわし読みをしてから、夜『パッチギ!』と二人の天才ボケがからむ『きらきらアフロ』を観た。 『パッ…

『小説の自由』

保坂和志の『小説の自由』に次の文章が出てくる。 小説でも哲学書でも、それを楽しんだり理解したりするために、読んでいるあいだにいろいろなことを自然と思い出したり強引に思い出したりしているもので、読み終わるとそれの何分の一かしか残っていない。そ…

『シネマと書店とスタジアム』

今日から土日を含めて五連休。有馬温泉で一泊するだけのささやかな夏休み。 有馬への小旅行の道連れに、沢木耕太郎『シネマと書店とスタジアム』と保坂和志『小説の自由』と昨日買った野矢茂樹『他者の声 実在の声』を持っていった。 結局読めるのは沢木本だ…

『現代小説のレッスン』

石川忠司『現代小説のレッスン』読了(再読)。 この本は、圧倒的に細部が面白い。 村上龍=ガイドの文学とか保坂和志=村の寄り合い小説とか村上春樹=ノワールといった作家論も新鮮だが、なにより個々の作品に切り込んでいく批評の切っ先が実にイキがよく…

『僕が批評家になったわけ』

加藤典洋『僕が批評家になったわけ』読了。 批評とは何か。それは日々の生きる体験のなかで自由に、自分の力だけでゼロから考えていくことだ。 本を一冊も読んでなくても、百冊読んだ相手とサシで勝負ができること。 批評とはそういう言語のゲームなのである…

四本の映画

映画を四本観た。 中平康監督の『狂った果実』(1956)。 あのフランソワ・トリュフォーが絶賛し、かのヌーヴェル・ヴァーグの先駆けとなった作品(だそうだ)。 そういう先入観があったからかもしれないけれど、映像はとても懐かしくて(イマドキの映画では…

本屋めぐり

本屋めぐりをしていて「太田新書」というものが出ていることを知った。 これがなんと官能小説のシリーズ──「もっと激しく、もっと淫らに、太田新書新創刊!」──で、新創刊のラインアップは藍川京、丸茂ジュン、安達瑶、北山悦史の四人。 記念に北山悦史『濡…