2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧

最近読んだ本─中沢新一『日本の大転換』ほか

中沢新一著『日本の大転換』を読んだ。 ここに書かれている事柄の多くは、中沢新一さんがこれまでに書いてきた本のなかでもっと精緻に論じられている。 たとえば「太陽と緑の経済学」の先駆をなすピエロ・スラッファの「贈与的交換の部分を組み込んだ生産」…

最近買った本─吉行淳之介『夕暮まで』ほか

ある若い人が最近、吉行淳之介の文体に惹かれるものを感じたので読んでみたいと思っていると話してくれた。 吉行の作品は学生時代のある時期、かなり熱心に集中して読んだことがあって、もう題名はほとんど忘れたけれども長中短篇の小説の世界には孤独や憂愁…

言いたいと思っていること

ヘーゲル『精神現象学』(長谷川宏訳、作品社/1998年3月)の第一章「感覚的確信──「目の前のこれ」と「思いこみ」」から。 《わたしたちは感覚的なものを一般的なものとして表現してもいるわけで、わたしたちのいう「このもの」は「一般的なこのもの」であ…

非人称の「意味するのを欲する」こと

互盛央著『フェルディナン・ド・ソシュール──〈言語学〉の孤独、「一般言語学」の夢』(作品社、2009年7月)を拾い読みしていて、印象に残ったところを一つ。 (安藤礼二さんがいう「表現」にも、大いに関係するところがあると思うので。) 本書の最後で、ソ…

性愛と墓地、観念をモノ化するマテリアリズムの力

中沢新一さんの「大阪アースダイバー」が週刊現代に連載されていて、時々、読んでいる。 「どじょう野田を操る「本当の総理」勝栄二郎」という記事を読みたくて買った10月8日号は、「土はすばらしいマテリアリスト(唯物論者)である。」に始まる第42回…

三つの性愛と性的身体の「かたち」

『場所と産霊』に、三つの性愛と性的身体の「かたち」が描かれていたので、メモ(備忘録)を残しておく。 ◆その一、フーリエ。性の奇癖、天使的結合。 「青年期には陽気な娼婦たちとの語らいを通して自らの性の奇癖、「女子同性愛者嗜好」(ドゥブー『フーリ…