2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧

小説の物語

☆ウラジミール・ナボコフ『ナボコフの文学講義 上』(野島秀勝訳,河出文庫:2013.01.20) 昔、阪神淡路大震災よりも数年前に読んだマヌエル・プイグの『蜘蛛女のキス』が面白かった。(1992年9月以降に読んだ本は記録しているが、蜘蛛女はそこにでてこ…

誰が語っているのか

☆ル・クレジオ『物質的恍惚』(豊崎光一訳,岩波文庫:2010.5.14) 昔、たぶん大学生の頃だったと思うが、アンリ・ミショーの詩やデッサンに強く惹かれていた時期があった。小海永二氏の著書か訳書を何冊か買い求めたような気がするのだが記憶が不確かで、詩…

最後に現われるものが最初から存在する

☆岡ノ谷一夫『「つながり」の進化生物学──はじまりは、歌だった』(朝日出版社) 岡ノ谷一夫さんのことは小川洋子との共著『言葉の誕生を科学する』(河出ブックス)ではじめて知り(これは名著だった)、つづけて『さえずり言語起源論──新版 小鳥の歌からヒ…