2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧

哲学を伝えること──永井均の講演(2)

前回、永井均さんの講演を「永井哲学の上演」と書いたことについて。 『なぜ意識は実在しないのか』の「はじめに」に書いてあったこと。 2006年の夏、大阪大学文学部でおこなわれた講演の音声ファイルの入手先を紹介したあとで、「これは、役者がひどく…

語りえぬこととしての存在──永井均の講演(1)

大阪中之島の朝日カルチャーセンターで、永井均さんの講座を聴いた。 8月27日の土曜日、午後3時半から5時過ぎまで。ちょうど大阪が激しい雨(気象庁の発表では、午後4時過ぎまでの1時間で史上最多の77.5ミリ)に襲われていたときのこと。 雨音、落…

Web評論誌『コーラ』14号のご案内

■■■Web評論誌『コーラ』14号のご案内■■■ ★サイトの表紙はこちらです(すぐクリック!)。 http://sakura.canvas.ne.jp/spr/lunakb/index.html ●現代思想を再考する1 デリダと継承の困難● 継承と隔たり――いかにしてデリダは/を継承するか ST(コメント…

私が死んだら世界が消える

週刊現代(8月6日)の「日本一の書評」に、中島義道著『明るいニヒリズム』をめぐる著者インタビューが掲載されていた。 現在の風景に過去の意味を付与するのは自分だから、自分がいなくなれば過去の世界はなくなる、とあります。これは「自分が死んだら世…

批評の不在──坂部恵の美学講義(3)

坂部恵の日本文化論「不在の主体/主語と批評の不在」の概略紹介の後段。前回引用した佐々木健一氏の文章の続き。 《この文化の特徴は、批評(批判的活動)に対しても次のような影響を及ぼす。先ず、藝道の諸分野で、その初期には傑出した批評が生れる(定家…

不在の主体=主語──坂部恵の美学講義(2)

美学講義・第一講に、2001年、幕張で開催されたアジア初の世界美学会大会での挿話が紹介されている。 「インドの女性美学者は、私たちは美術館に展示された芸術などという概念はもたない、といった。非西洋文化圏からの挑戦的な言辞である。」 その大会…

坂部恵の美学講義(1)

別冊水声通信が創刊された。(「ムック形式で1テーマを掘り下げる新たな論集」) 第一回が『坂部恵──精神史の水脈を汲む』。冒頭に、坂部恵の遺稿の一部が掲載されている。全二十一講からなる『美学講義──霊的美の系譜』(仮題)の第一講。 通読して、次の…