2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

メカニカルな感覚、時間の劇。

吉本隆明の詩を読みたいと思っている。 その直接のきっかけは、中沢新一編著『吉本隆明の経済学』の第二部「経済学の詩的構造」を立ち読みしたこと。 いわく、人間の心の仕組みの奥には「詩的構造」と名づけるしかない根源的な活動があって、いっさいの心的…

和歌の勉強

三浦しをんさんが讀賣の読書欄(9月21日)で大絶賛していた、放送大学の講義「和歌文学の世界」──「和歌第二シーズン、バージョンアップしています!」(三浦しをん)──の第2学期分を毎週かかさず見ている。 全15回の第7回、佳境の「藤原定家の方法」ま…

国学とプラグマティズム

昨日の朝日の書評欄で、柄谷行人さんが『哲学を回避するアメリカ知識人』(コーネル・ウェスト著)に関連して、とても興味深い指摘をしていた。 認識論を中心にした近代ヨーロッパの「哲学」を回避するアメリカ土着の哲学、つまりエマソンを源流とするプラグ…

クローデルを探して

先週末、私用公用とりまぜた2泊3日の東京行きの車中の友を選ぶのに四苦八苦した。 ずいぶん前から『寒い国から帰ってきたスパイ』に決めていたのに、当日の朝になって『逢坂の六人』に変更し、その後あれこれとりかえたあげく、最終的に平凡社ライブラリー…

夢の中に生きている貫之

周防柳さんの『逢坂の六人』を読み始めた。まだ序のなかばあたりを彷徨っている。 紀貫之が主要人物で、「六人 The Magnificent Six」とは六歌仙のこと。目次(美しい!)をながめていると、貫之が狂言廻しになって、連作小説風に物語が進行していくので…

「ホリゾンタル」な図式と「ヴァーティカル」な視点

このところずっと、『生命と過剰』とその第二部にあたる『ホモ・モルタリス』が収められた丸山圭三郎著作集第4巻を読んでいる。 読み始めた動機は、丸山圭三郎と井筒俊彦の思考の同型性を確認する、といったことだったが、そういった個別の関心事とはかかわ…

ジョン・ル・カレ

少し前からジョン・ル・カレの『誰よりも狙われた男』を読んでいる。 読み始めてすぐ他の本が読めなくなり、これ一本にしぼってゆっくり時間をかけ、一文たりともおろそかにせず細部を味わい尽くすようにして読み進めている。 ちょうど映画も公開中のようで…

アラベスクとアナグラム

論文のタイトルに惹かれて、宗像衣子さんの「宙空のアナグラム・宙空のアラベスク──マラルメ『骰子一擲』序論・〈形象の変容と思惟的像〉」を読んだ。(『トランスフォーメーションの記号論』(記号学研究10)[東海大学出版会:1990.05.10]所収) 秋山澄夫…