ジョン・ル・カレ

 少し前からジョン・ル・カレの『誰よりも狙われた男』を読んでいる。
 読み始めてすぐ他の本が読めなくなり、これ一本にしぼってゆっくり時間をかけ、一文たりともおろそかにせず細部を味わい尽くすようにして読み進めている。
 ちょうど映画も公開中のようで、とても評判がいいらしい。読み終えたら、時間をつくって映画館で観ようと思っている。
 それまでの「つなぎ」に、2年前に公開された『裏切りのサーカス』をネットで観た。スマイリー三部作の第一作『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』を映画化したもの。
 一度では後半の流れがさっぱりつかめなかったので、伊藤敏朗さんの「よくわかる『裏切りのサーカス』全解説【再改訂版】」を手引きに、もう一度最初から観た。
 この解説の出来は素晴らしいもので、『裏切りのサーカス』のことがよくわかっただけでなく、映画はこうして観るものだということを教えられた。
 なかで、村上春樹が『スクールボーイ閣下』(三部作の第二作)をジョン・ル・カレの最高傑作だと絶賛したことが話題になっていた。
 そういえば、かれこれ20年以上前、『スクールボーイ閣下』に挫折したままになっていた。いや挫折したのではなくて、その時が到来するのを待っていた。


※「その時」がきたと思ったので、先日、出石の永楽館歌舞伎の見物に出かけた際、実家の「書庫」に立ち寄って『スクールボーイ閣下』を探したところ、「挫折」したままになっていたのは『リトル・ドラマー・ガール 』だったことが判明。
 記憶はあてにならない。『リトル・ドラマー・ガール 』はその後、ダイアン・キートン主演の映画を観た。(2014/11/06)