2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

哥と共感覚・素材集3

共感覚と直接的に関係しないのかもしれないが、(ドゥルーズ/ガタリの「動物になること」との関連で)、リルケの「開かれた世界」もしくは「世界内部空間 Weltinnenraum」という概念が興味深い。 辻邦生著『薔薇の沈黙』によると、「世界内部空間」は(天使…

哥と共感覚・素材集2

◆リチャード・E・シトーウィック『共感覚者の驚くべき日常──形を味わう人、色を聴く人』(山下篤子訳,草思社) 「異種感覚間連合の説明をしてくれ」 「二歳の子どもを考えてください。その子に何かを見せて、それからその子を物がいっぱいある暗い場所に入…

哥と共感覚・素材集1

和歌における共感覚的表現に関連して、いくつかの書物にあたってみたので、印象に残った箇所を抜き書きしておく。 何を探っていたかというと、共感覚をキーワードに歌体論にアプローチしてみようというもの。その「成果」は、いずれ「哥とクオリア/ペルソナ…

対決―巨匠たちの日本美術

東京国立博物館の特別展「対決−巨匠たちの日本美術」を観てきた。 たっぷり時間があったけれど、2時間も経つともう限界だった。それ以上観ていたら、眼福を肥やしすぎて、日常生活に支障が出る。 帰りに、ショップで、長谷川等伯昨「松林図屏風」の横長絵葉…

定家的なもの(イタリア篇)

岡田温司著『イタリア現代思想への招待』(講談社選書メチエ)の、美学が大きな位置を占めるイタリア思想界の状況について書かれた第四章「アイステーシスの潜勢力」から、これまで抜き書きしてきた三島由紀夫の文章と、あるいはそこにおいて見え隠れしてい…

川端康成氏再説ほか──抜き書き・三島由紀夫全集31巻

「川端康成氏再説」(昭和34年)という文章から、その一部(といっても、マクラの部分を除いただけで、ほぼ全文)を抜き書きする。 あわせて、若干の補遺を加える。 ※ 氏の「雪国」や「千羽鶴」が外国で歓び迎へられたのには理由があると思ふ。たとへば西洋…

文章読本──抜き書き・三島由紀夫全集31巻

昨日につづいて、『決定版三島由紀夫全集』31巻を眺めた。 口絵に、映画「からっ風野郎」(昭和35年、増村保造監督、大映)でヤクザの名門朝比奈一家の二代目に扮した三島由紀夫と、情婦役の若尾文子とのツーショット写真が使われている。 (この映画は未見…

存在しないものの美学──「新古今集」珍解

終日、新潮社の『決定版三島由紀夫全集』31巻を眺めていた。 『豊穣の海』を書き終えたら、藤原定家をモデルにした小説を書きたい。三島由紀夫はそう語っていたらしい。その三島由紀夫が定家や新古今集について書いた文章を探していて、「存在しないものの美…