2006-02-01から1ヶ月間の記事一覧

最近買った本──『RATIO』

たぶん読まないだろうな、と思いながら『RATIO[ラチオ]』(1号)を買った。 講談社初の思想誌なのだそうだ。 巻頭論考「今、われわれの根本問題をどう考えるか、どう考えうるか」では小泉義之(「自爆する子の前で哲学は可能か──あるいは、デリダの…

『物質と記憶』(第23回・補遺)

とうとう、アンリ・ベルクソン/ジル・ドゥルーズ編『記憶と生』(前田英樹訳)を買った。 『物質と記憶』の副読本として、ドゥルーズの『ベルクソンの哲学』(宇波彰訳)を常備し、折にふれて部分読みや流し読みをしている。 でも、ドゥルーズの文章は「雰…

『物質と記憶』(第23回)

『物質と記憶』独り読書会を再開した。 前回、「一から出直し」と書いた。 今日、三週間ぶりにようやく本を開き、とりあえず「概要と結論」の後半に目を通そうとしたけれど、まるで集中力が働かず、早々に断念。 しばらく「リハビリ」が必要かもしれない。 …

最近買った本──『〈心〉はからだの外にある』

今日もまた、読んだ本ではなくて買った本の話題。 河野哲也著『〈心〉はからだの外にある──「エコロジカルな私」の哲学』(NHKブックス)の序章「心理主義の罠」と第一章「環境と共にある〈私〉──ギブソンの知覚論から」とあとがき「心理学と探偵小説」を…

最近買った本──『日本人は思想したか』

近頃は買った本の話ばかりで、読み終えた本の感想、書評もどきの文章がまるで書けない。 そもそもまともに読めないのだから、どうしようもない。 とっかえひっかえ本を手にして活字を眺めてはいるのだが、まるで頭に入ってこない。心に染みこまない。 一月近…

「小林秀雄の霊が降りてきた」

昨日の話題の続き。というか、種明かし。 文藝春秋の3月号に、茂木健一郎氏の「小林秀雄の霊が降りてきた」という文章が掲載されている。 「科学者の私が恐山のイタコに心動かされたわけ」と副題が添えられていて、なかなか面白いエッセイだった。 小笠原ミ…

歴史とクオリア

いま目の前でミュージカルを観ている時の、たとえば群舞するダンサーたちの筋肉の躍動や皮膚ににじんだ汗や迸るかけ声のなまなましい「印象」と、後になってからそれを想起している時に頭に浮かんでいる、あるいは蘇っているもどかしくも朧気な「印象」とは…

「ヒボコ」

先週の土曜(18日)の晩、西宮にある県立芸術文化センターの大ホールでミュージカルを観た。 日本ミュージカル研究会主宰の高井良純氏が作・作曲・演出した「ヒボコ 天日槍物語−水と炎と愛の伝説−」。 この作品は、以前も別の劇場で観たことがある。 木の香…

『空間の謎・時間の謎』

このことは昨日も触れたけれど、いま、内井惣七著『空間の謎・時間の謎──宇宙の始まりに迫る物理学と哲学』(中公新書)を読んでいる。 「ライプニッツ恐るべし」という意味不明のキャッチコピーに惹かれて、いつ読むというあてもないのに衝動で購入した。 …

「今週の本棚」

今週もまた『物質と記憶』はお休み。 昼前に駅前の貧相なカフェで不味い珈琲を啜りながら、読みかけの書物の頁を繰っては、思いのままに思索(というほどのものではない)をめぐらせる。 滾々とわきでてくるアイデア(というほどのものでもない)をノートに…

『黄金の華』

先日、日帰りで東京にでかけ、行き帰りの新幹線の中で、忙中閑の時間がとれた。 その日は神戸空港開港の日でもあり、一番機に乗る手もあったのだが、往復6時間弱の車中の読書時間の魅力が勝った。 鞄には「厳選」した本を二冊しのばせておいた。 トマス・ネ…

『国家の品格』

クロソフスキーや『贋金づくり』をめぐる濃厚な「気分」が続いたあとに書くのは少し気が引けるが、最近、藤原正彦著『国家の品格』(新潮新書)を読んだ。 こういう本は、ふだん滅多に読まないし、ましてや買わない。 「こういう本」というのは、まさに『国…

『貨幣とは何だろうか』からの抜き書き

昨日の続きで、今度は今村仁司著『貨幣とは何だろうか』(ちくま新書)からの自己引用。 ◎経済小説と貨幣小説 今村仁司氏は『貨幣とは何だろうか』で経済小説と貨幣小説を区別している。経済小説とは──たとえばバルザックやゾラの作品にしばしば商人や産業家…

『贋金つくり』からの抜き書き

昨日、クロソフスキーのことを書いていて、ジッドの『贋金つくり』にいきついた。 この本は以前読んだことがあって、結構面白かった。 昔書いた文章、というか編集したもので取り上げたことがある。 そこで抜き書きしたアンドレ・ジイド『贋金つくり』(川口…

『古代ローマの女たち』

ピエール・クロソフスキーの『古代ローマの女たち──ある種の行動の祭祀的にして神話的な起源』(千葉文夫訳,平凡社ライブラリー)を買った。 この本は以前、哲学書房版の『ローマの貴婦人』で読んだことがあるはずだが、ほとんど憶えていない。 どうせ、い…

『仏教vs.倫理』

末木文美士著『仏教vs.倫理』(ちくま新書)を買った。 先月、同じ著者の『日本仏教史──思想史としてのアプローチ』(新潮文庫)を「発見」した。 さっそく買い求め、日々の日課のようにして読んでいるが、乾いた砂に水が染み入るようには知識が頭に吸収され…

『太陽の黙示録』

『物質と記憶』の独り読書会はお休み。 あいかわらず「激務」が続いている。 昨晩はとうとう半徹で、朝方までお持ち帰りの仕事に没頭していた。 キース・ジャレットの「ケルン・コンサート」とグレン・グールドの「ゴールドベルク変奏曲」をそれぞれ2回ずつ…

コモンズとしての都市・その他

◎コモンズとしての都市 宇沢弘文著『社会的共通資本』から。 社会的共通資本(ソーシャル・コモン・キャピタル)としての都市とは、「ある限定された地域に、数多くの人々が居住し、そこで働き、生計を立てるために必要な所得を得る場であるとともに、多くの…

核家族と郊外化

◎核家族と郊外化 これからの住まいや都市のあり方をめぐる「対談」に際して、いくつかの本を読み返した。 なかでも三浦展著『ファスト風土化する日本──郊外化とその病理』は、何度読んでも新鮮で切れ味の鋭い論考だった。 「第二次大戦は傑出した都市と夢の…

医・職・住

◎医・職・住 阪神・淡路大震災の直後、政府におかれた復興委員会でのこと。 委員長の下河辺淳氏が、当面の課題を「医・職・住」と規定した。 被災された方には高齢者が多かった。 医療や保健、福祉といった広い意味での公的なケアサービスの迅速な供給が不可…

「ガーデン・シティ」をめぐる二つの誤解

先日、少人数の会合でこれからの住まいや都市のあり方について「対談」する機会があった。 1時間ほどのことなので、そんな大それた話にはならなかった。 そもそも私は住宅や都市の政策に関してずぶの素人なので、もっぱら相手(その道のプロ)の話によりか…

『物質と記憶』(第22回・補遺の2)

内田樹さんが『インターネット持仏堂1 いきなりはじめる浄土真宗』(その5「宿命」論)で次のように書いている。 《恋というのは「昨日と同じ風景が今日は違って見える」というかたちで顕在化します。それは性的な欲望や不充足とは違うレベルの、「昨日ま…

『物質と記憶』(第22回・補遺の1)

小林秀雄は『感想』で次のように書いている。 《私は、ベルグソンの著作に、文学書に接するのと同じ態度で接して来た。作者の観察眼の下で、哲学という通念が見る見る崩壊して行く有様に、一種の快感なぞ感じたりして、自分の読み方は十分に文学的であると思…

『物質と記憶』(第22回)

『物質と記憶』独り読書会を再開した。 先々週、一気に終章を読み飛ばしてしまい、なんとなく「読了」した気分になっている。 まだ巻末の「概要と結論」を読んでいない。 それでなくとも、第四章でのベルクソンの思考を追体験する作業をさぼっている。 この…

「商業用語について」・その他

昼前まで寝ていた。 泥睡という言葉があるのかどうか知らないけれど、夢も見ずただひたすら眠りつづけて飽くことがないのは随分久しぶりのこと。 たぶん夢は見ているのだろうが、それは目覚めとともにどこか知らないところにストックされてしまって、二度と…

『クレーの絵本』

好きな画家は誰かと訊ねられたら、きっとたくさんの名前をあげることだろう。 ただ一人にしぼれと言われたら、さんざん迷ったあげく、たぶんアンリ・マティスかパウル・クレーの名を告げるのではないかと思う。 どちらになるかは、その時々の感情のかたちと…

『20世紀絵画』

宮下誠著『20世紀絵画──モダニズム美術史を問い直す』(光文社新書)を読んだ。 これも読み終えたのは先月末のこと。 ちゃんとした書評を書こうとぐずぐずしているうち、時間切れになってしまった。 この本は図書館で借りて読んだので、返却期間がきたら返…

『象られた力』

飛浩隆著『象られた力』を読んだ。 読み終えたのは先月末で、ちゃんとした感想文を書こうと思ってぐずぐずしているうち、時間がとれなくなってしまった。 そんなことはもうどうでもよくなった。 面白かったのなら、それだけで十分だと思う。 収められた四つ…