コモンズとしての都市・その他

◎コモンズとしての都市
宇沢弘文著『社会的共通資本』から。
社会的共通資本(ソーシャル・コモン・キャピタル)としての都市とは、「ある限定された地域に、数多くの人々が居住し、そこで働き、生計を立てるために必要な所得を得る場であるとともに、多くの人々がお互いに密接な関係をもつことによって、文化の創造、維持をはかってゆく場」(95頁)である。
「人間的な魅力を備えた都市はまずなによりも歩くということを前提としてつくられなければならない」(121頁)。
以下、ジェイン・ジェイコブズの都市再生四原則にもとづく街路のあり方が概観される。
「公共交通機関を基本的な交通手段として都市を設計するとき、一つの都市の大きさについて自らある限界が存在する」(同)。
サスティナブル・コミュニティ、コンパクトシティ、スマート・グロウスといった言葉が思い浮かぶ。
ある人が「スマート」を「美しい」と訳していた。


◎子どもが増える田園都市
養老孟司『無思想の発見』から。

「日本の場合、ある程度大家族でないと、じつは子育ては危険である。(略)だから共同体がまだ生きている田舎、つまり沖永良部島がもっとも人間の再生産率が高く、都市つまり東京都目黒区がいちばん低い。
最近、福島県伊達町の諏訪野に行った。ここは共同体の再生を考慮に入れて、都市づくりを行っている。コモンと呼ばれる「小さな広場」を数軒の家が囲む形になっており、町全体は西欧の田園都市に近い、樹木を多く取り入れた設計になっている。そこでは「子どもが増えている」のである。外で遊んでいる子どもを、だれか大人が見ているからである。」(30頁)