クローデルを探して


 先週末、私用公用とりまぜた2泊3日の東京行きの車中の友を選ぶのに四苦八苦した。
 ずいぶん前から『寒い国から帰ってきたスパイ』に決めていたのに、当日の朝になって『逢坂の六人』に変更し、その後あれこれとりかえたあげく、最終的に平凡社ライブラリーの『大森荘蔵セレクション』に落ち着いた。
 往復の5時間で全編読み切るのは無理としても、せめて「ことだま論」は熟読玩味したかった。が、結局、行きの新幹線で前半部分を読み終えただけ。
 帰りの列車では、神保町の三省堂で買った杉本秀太郎著『見る悦び──形の生態誌』冒頭の「宗達のこと」を読んだ。
 ほぼ十年ぶりの古書店めぐりのテーマは、ポール・クローデルの『朝日の中の黒い鳥』(講談社学術文庫)。アマゾンで6千円から出品されている。
 2時間ほどで探し疲れて、結局、前々から気になっていた『見る悦び』とジョン・ル・カレの『スクールボーイ閣下』を購入して退散した。