私が死んだら世界が消える


 週刊現代(8月6日)の「日本一の書評」に、中島義道著『明るいニヒリズム』をめぐる著者インタビューが掲載されていた。


 現在の風景に過去の意味を付与するのは自分だから、自分がいなくなれば過去の世界はなくなる、とあります。これは「自分が死んだら世界は消える」ということでしょうか。──この質問に答えて。


《私が死んでも、世界から見れば、私が消えただけの話です。ただ、裏を返せば、「私から見て世界がなくなる」ということでもある。私にとっては「私が死んだとき世界が消える」と言っていいのかもしれません。このあたりは、もっとよく考えねばなりませんが。》


 文春文庫版『観念的生活』に、2011年2月28日と日付けのついた「観念的生活、その後」が収録されていて、その冒頭が『明るいニヒリズム』につながっている。


《それは徐々に訪れて来た。そして、今年の初めに雪崩のように一挙に私を襲った。「それ」とは、この世界は、本当は「無い」ということである。》