「写真よ、語れ!」

芸術新潮』9月号を買った。特集は港千尋解説の「写真よ、語れ!」。
橋本治が「とことん語る」日本美術史と磯崎新が「読みかえる」日本建築史を特集した二冊に続く常備本。
写真はつねに変わらぬ(詩的)インスピレーションの源泉だった。
一枚の写真を凝視すること、その視覚の感触を言葉におきかえること。それが詩作の作法だった。
(たとえば『葡萄状連詩』集英社の世界写真全集第1巻から生まれた。)
この習慣を失ってもうかれこれ二十年が過ぎている。
一枚の写真にかける時間の深さが足りない。
ひとつの音楽にかける時間の深さも失っている。
一篇の小説にかける時間の深さも。