本の読み方

二週続けてなんの予定もない休日をだらだらと過ごす。
年明け以来、書店で見かけ見境もなく買っては読み囓ってきた単行本、新書、文庫がそれぞれ十冊以上ずつ本箱にたまっている。
そろそろ「棚卸し」をしておかないと気持ちの負担になる。
律儀に最後まで読み、読み終えた以上は何か感想、書評めいたことを書きつける。
そんな作業を続けているうち、書物をひもとき文章を味わうという歓びがしだいに失せていった。
なんだか書物にせかされているような気がして、気持ちが鬱々としはじめた。
本を読み終えたときの晴れ晴れとした感動から遠ざかっていた。
そこで年明け以来「つまみ読み」に徹することにした。
たとえば丸谷才一さんの『新々百人一首』など、一気読みしてみたところでなんの感銘もない。
詩を速読するようなものだ。
その場その時の気分と関心と勘にしたがって本を選び、少し読み、また読み返し、心と頭と身体に言葉がじんわりと染み入るようにして読み、忘れてはまた少し読み進める。
しばらくはうまくいったが、精神の緊張は続かない。
このあたりで一度「在庫整理」をしておかないと本の山におしつぶされる。