開高健

今週は三冊の雑誌を購入した。
自然エネルギーの宝庫・アフリカ入門」の特集を組んだ『ソトコト』5月号とマンガ特集を組んだ『SIGHT』、そして開高健の特集を組んだ『サライ』。
開高健の文章は時々読み返したくなる。
「みんな酒を飲むときはそれとしらずに弔辞を読んでいる。」
そんな名コピーにあふれたエッセイ集『白いページ』はかつてバイブルみたいなものだった。
『夏の闇』は選集で読み、文庫で読み、英訳で読み、何度も繰り返し読んだ。
「無色透明のピュアモルトにも準えうるような、まだ溶解と流動の過程にある感受性の原型を、それに相応しい新鮮な言葉によって表現することができないものか、この熾烈な祈りとも交錯する願望が開高健の一代を貫く文学的動機[モチーフ]であった」(谷沢永一)。
平成元年12月、58歳で永眠。
生きていたら今年で75歳、はかりしれない深みに達した文章を残していたかもしれないし、あるいは開高健は終わっていたかもしれない。