『スピノザの世界』

京都に出かけた。
例によって持参する本選びでさんざん迷ったあげく、直前になって養老孟司さんの『日本人の身体観』と玄侑宗久さんの『禅的生活』を鞄に放り込み、結局、上野修さんの『スピノザの世界』を数頁だけ読んだ。
スピノザの異例・異様な思考世界をとても上手にコンパクトかつ無味乾燥に(これは悪口ではない)解説している。
でもちょっと気になるのは、たとえば『エチカ』第2部でデカルト由来の心身合一の問題がいとも早々と解決されてしまうことにふれた箇所で、「…「物体B」の観念になっている思考も「身体Aの変状a」を漠然とでも知覚しちゃうのではないか」(123頁)と突然会話風の表現が出てくるところ。
これと似た表現が「あとがき」にも出てくる。
「…それら観念がみな無限に多くの私の(?)並行する精神であるということになっちゃうのではないか」。
これはやめてほしいと思う。
京都では仁和寺龍安寺を拝観した。龍安寺はよかった。石庭より回遊庭園がよかった。