最近読んだ本

途中まで読んで放置したままの本がたまっている。
気になってしかたがない。いつかまとめて「棚卸し」をしなければと気持ちが焦る。
最後まで読むことへのこだわりがなかなか抜けない。
「僕は、小説は部分だけ読んでいて構わないと思っているのね」(保坂和志)という境地にはやく到達したいと思う。
今日は小島信夫の『漱石を読む』を数頁、折口信夫の『かぶき讃』を一節、それから日夏耿之介の『荷風文学』とレヴィ=ストロースの日本講演の記録を少々読んで、ヒッチコックの『めまい』の前半を観て、ブラームス交響曲第1番を十分ほど聴いて過ごし、吉田一穂の詩を一篇しあげに朗読して就寝しました。
そんな日記を書いてみたい。
で、気になっていた本の何分の一かをしあげた。


内田樹春日武彦『健全な肉体に狂気は宿る』読了。
内田樹はほんとうによくしゃべる。ホモ・ロクエンスとはこの人のことだ。
放談集といってもいい本だが、随所に叡智の言葉がちりばめられている。
ことばの力は身体感覚を変える。
いい比喩(『ハウルの動く城』に出てきた、あの黒いドロドロになったようなつもりで!)に出会うと人の動きはパットと変わる(110頁)。
人格を変えなきゃ、声も変わらないですよ(184頁)。
以上、内田。
残虐な行為は一度存在してしまったら、あとは次々と宿主を変えて取り憑いていく精神的な寄生体なのである(229頁)。
これは対談を終えた春日の言葉。いずれもほんの一例。

志村史夫『こわくない物理学』読了。
コンパクトに「世界知」がまとめられていて重宝。
でもこの本のどこが「哲学としての物理学を追究した画期的名著」なのか最後まで読んでも皆目分からない。

草凪優『誘惑させて』読了。
著者は2005年「この文庫がすごい!」官能文庫対象受賞者。
「女薫」の向こうをはって『週刊ポスト』に連載されている重松清の「なぎさの媚薬」もよさそうだが、草凪優のフルーティ(?)な作風はとても新鮮でよい。

夜、『ロープ』を観た。
ヒッチコックがますます面白くなってくる。
廉価版で買えるDVDはすべて買って、何度も何度も観てみよう。
いま一番観たいのは『めまい』で、これは三回は観た。