『完本 風狂始末』ほか

大阪での仕事を終え阪急東梅田商店街で一杯やって、紀伊國屋書店梅田本店で小西甚一『中世の文芸』と唐木順三『中世の文学』と岩波文庫の歌論集か歌合集を探したけれどどれも置いてなくて「これでも天下の紀伊國屋か!」と酔った勢いで毒づきながら、それでも何か一冊「記念」にと物色し、いずれ読むことになるだろうとふんでいたちくま学芸文庫の安東次男『完本 風狂始末──芭蕉連句評釈』を買い求めて、帰りの電車の中で「鳶の羽の巻」(『猿蓑』)の発句と脇句の評釈を読みしばし陶酔、其角の『猿蓑』序に「彼西行上人の、骨にて人を作りたてゝ、声はわれたる笛を吹やうになん侍ると申されける」と反魂の法にふれた箇所があるのを知った。


帰宅して日々の日課となった英語音読と丸谷才一『新々百人一首』、今宵は第53番、後鳥羽院「わたつうみの波の花をば染めかねて八十島とほく雲ぞしぐるる」の註釈を読みしばし陶酔、我流の真向法のあと「きらきらアフロ」をみて寝た。