『御開帳綺譚』ほか

玄有宗久『御開帳綺譚』と黒沢美貴『ふしだらな左手──ルージュマジック』を購入。
『ふしだらな左手』を読了。
睦月影郎はすこし飽きてきたし、草凪優の新刊もでていたが新しい書き手を開拓したいと思った。
作者はたぶん女性だと思う。お気軽でバカっぽい設定と後をひかないストーリー展開がとてもさわやかで新鮮。


『御開帳綺譚』は官能小説と間違って買ったのではない。
文春文庫の解説を茂木健一郎が書いているから買ったのだ。
茂木健一郎の解説「揺れ動き、見えた光」は上手すぎる。
この人の文章が達者なのは昔から知っていたが、ここまで上手く書かれるともう何も言うことはない。
何も言わなくていいのだが、あまりにプロっぽい文章は過不足がなさすぎて、評言がぴしっと決まっていて、絶句するほかない。
易々と消化されてしまって後に何も残らないので困るのだ(何も残らなかったわけではないが)。
文学論『クオリア降臨』(11月)とファンタジック・エンターテインメント『プロセス・アイ』(12月)の刊行が予告されている。
ファンとしては待ち遠しいが、少しこわい。


玄有宗久の小説を読むのは初めて。
この人の『禅的生活』は『俳句的生活』(長谷川櫂)とともに読まずに大事にとってある。
読まずに常備しておくという読み方もあるのだ。
そうはいっても、もうそろ読んでもいいかなと思いはじめている。
機が熟しているかどうかは読んでみて判断すればいい。
まだ早いと気がついたらその時点で止めればいい。
現代作家の小説はあまり読まないので、誰か人を決めてなかば強制的に読み込んでみようかといつも思っている。
それで阿倍和重の『ニッポニアニッポン』を買ったが手がついていない。
玄有宗久を読んで面白かったらつづけて読んでみよう。