『ヴィーナス誕生』と『日本古典文学全集』

今日、兵庫県立美術館で催事があって、夜、館長の木村重信さんも含めた懇親の機会があった。
岩波新書『はじめにイメージありき──原始美術の諸相』はかつての愛読書で、ぜひ著者のサインをいただきたいと思っていたのだが、あいにく手元においてなかった。
かわりに中公新書の『ヴィーナス以前』を持参したけれど、まだ読んでいなかったのでこれは遠慮しよう。
と思っていたけれど、結局サインをいただいた。
「これは力を込めて書いた本なんですよ」とのこと(書名を『ヴィーナス誕生』と言ったような気がするが、酔っていたのでよく憶えていない)。


先週の土曜、その美術館からの帰りに買った古本というのが、小学館の『日本古典文学全集50 歌論集』と『日本古典文学全集51 連歌論集 能楽論集 俳論集』の二冊。
歌論、連歌論の類を収めた古典全集をいくつか実地に手にしてみて、一番読みやすそうなので選んだ(現代語訳がついているのが決め手)。
後鳥羽院御口伝」や「正徹物語」が収められていないのは残念だが、たとえ収録されていたとしてもそうそう読めるものではない。
まずは心敬の「ささめごと」をしっかりと読み込んでみよう。
それすらいつ果たせるかわかったものではない。

各集の解説(歌論集・藤平春男、連歌論集・伊地知鐵男、能楽論集・表章、俳論集・栗山理一)をざっと読み、あらい相関図を作った。
国学本居宣長俳諧芭蕉(去来)は省略。
この図にどういう意味があるのか(とくに歌論の二つないし三つの系列)。
たぶん数日もすれば忘れてしまうだろう。
その時はまた解説を読み直せばいい。初学者には復習あるのみ。


【歌論】
  源俊頼[1055?-1129]──藤原俊成(幽玄)[1114-1204]──藤原定家(有心)[1162-1241]
  後鳥羽院[1180-1239]──正徹[1381-1459]──心敬
  西行[1118-1190]
連歌論】
  二条良基[1320-1388]──心敬[1406-1475]
能楽論】
  世阿彌──金春禅竹