『はじめての〈超ひも理論〉』

川合光著『はじめての〈超ひも理論〉──宇宙・力・時間の謎を解く』(講談社現代新書)を読んでいる。
内井惣七著『空間の謎・時間の謎』の同時併読本として買ったもの。
スーパーストリングの話は昔から好きだった。
物質の究極とか、宇宙の起源や成り立ちとか、数学的概念の振る舞いといった事柄について書かれた書物を読むことは、昔から私の精神衛生法の一つだった。
スーパーストリングにはそれらのすべてがつまっている。
松岡正剛さんが「千夜千冊」の第千一夜目のお題にブライアン・グリーンの『エレガントな宇宙』を選び、中断をはさんでつごう5回、字数にして4万5千字におよぶ長大なエッセイを寄せていたことを想起する。
まだ冒頭、第1章の途中までしか読んでいない。
ここまでのところでは、超ひも理論以前のクォーク誕生をめぐる四つのステップの話が面白かった。
その第三ステップが「クォーク・グルオン・プラズマ状態」と呼ばれるもので、それはクォークと反クォークがどろどろにくっつきあった「スープ状態」(53頁)のことである。
この「プラズマ」や「スープ」という言葉には妙に惹かれる。
クォークを「概念」にたとえると、「プラズマ状の概念」とか「概念のスープ」といったアイデアを導き出すことができる。
グルオンすなわち「糊の粒子」という言葉にも惹かれる。
『RATIO』に掲載されていた小泉義之との対談で、郡司ペギオ‐幸夫さんが語っていた「質料=夢=糊」という謎めいた概念を想起する。