脳が喜ぶ時空の問題

内井惣七著『空間の謎・時間の謎』が、俄然面白くなってきた。
いま、第Ⅰ章「空間とは? 時間とは?」と第Ⅱ章「ライプニッツニュートンは何を争ったか」を読み終えて、ようやく第Ⅲ章「ニュートンのバケツから相対性理論まで」に入ったところ。
以下、第Ⅳ章「マッハ流力学の行方」、第Ⅴ章「宇宙と量子」と、魅力的な章名がつづく。
いまだ読書脳が回復していなくて、実をいうと議論の細部が充分にフォローできていない。
それでも面白いと思うのは、この本であつかわれている問題そのものが、脳を喜ばせているからだろう。
時空の問題を考えることは、意識や善悪の問題を考えるより、よほど脳のはたらきの根っこのところにつながっている。
生命の根源につながっていると言ってもいい。
これほど具体的でありながら、かくも抽象的な問題は他に思いつかない。
哲学的問題であり同時に科学の問題であり、数学や神学の問題でもあるようなものは他にないのではないかと思う。